Brexitを超えて:Outはない!

Brexit-1(出典:Nikkei)

為替市場は、猛烈な嵐に見舞われた。英国のEU離脱が確実となり、低リスク資産としての円が一気に買われた。1日の値幅は7円を超え、過去最大の変動率を記録した。東京市場の衝撃は「リーマン・ショック」以上だった。24日の午前11時40分すぎ、わずか3分ほどで1ドル=103円台半ばから99円まで瞬く間に円高が進行、1ポンド=160円が135円と数時間のうちに2割近く急騰した。ネット上の情報が交錯し、離脱が確実との報道が増えるにつれ、円買いは更に強まった。

株式市場の「Brexitショック」はまずアジア市場を襲い、24日の日経平均株価の下げ幅は8%に迫り16年ぶりの大きさを記録した。続く欧州市場は、独仏の株価指数がマイナス7%、8%と大きく下げ、イタリアとスペインの指数も暴落した。英国FTSE100は一時8%超下落したが、売り方の買い戻しも入って終値では3%安だった。最後の米国市場でも、ダウ平均は前日比610ドル32セント(3.4%)安、3カ月ぶりの安値に沈んだ。失望売りの連鎖は、瞬時に地球を駆け巡った。

Brexit-2(出典:Reuters)

キャピタルマーケットはBrexitに失望した。では、我々は一体何に期待したのか?

同僚のアナリストがすでに書いた[1]ように、それはグローバルな市場統合であり、単一市場であった。LSE-DBのマージ[2]は、取引所関係者に大きな刺激となり、TARGET2-Securitie[3]やMiFID II[4]は、政策当局への重大なメッセージとなった。債券市場のT+1、株式市場のT+2[5]も、これまでのところ、欧州市場がリードした。現在のFinTechトレンドにおいても、ロンドンのLevel39[6]が、その先駆けであった。そこでは常に、新しいテクノロジーや知識が駆動する革新的なビジネスモデルが議論された。それは常に、IN(統合)であり、OUT(離脱)ではなかった。金曜日の市場が示す通り地球は連鎖しており、商流も金流も決してそこから離脱できない。

月曜日以降、グローバル市場の攻防は、ローレイテンシーを競う市場から、リソースアロケーションを巡る地政学的な戦略論議に拡大する。日系企業の大半は、欧州本社を英国に据え、大半のリソースをロンドンとその近郊に集中してきた。その背景には、EU単一市場だけでなく、それがグローバル市場へのINを可能としたからであり、再検討を開始する[7]のはHSBC[8]だけでなない。

政治、経済、そして通貨以上に、情報利用技術は世界を融合させた。この流れは止まらず、今回の出来事は歴史的な逆行と言える。この出来事を危機と捉えるか、機会と捉えるか?確かに、政治家は資本主義の行き過ぎに対応する必要があ[9]かもしれない。しかし、こと金融サービスにおいて、消費者の期待はモダナイゼーション、デジタル、そしてイノベーション[10]であって、時代の針を逆行させることではない。

 

[1] To Brexit and beyond! http://wealthandcapitalmarketsblog.celent.com/2016/06/24/to-brexit-and-beyond/

[2] How do you say “Brexit” auf Deutsch? http://wealthandcapitalmarketsblog.celent.com/2016/06/24/how-do-you-say-brexit-auf-deutsch/

[3] The European Post-Trade Ecosystem Under T2S http://www.celent.com/reports/european-post-trade-ecosystem-under-t2s

[4] MiFID II Pre- and Post-Trade Transparency http://www.celent.com/reports/mifid-ii-pre-and-post-trade-transparency-there-light-end-three-year-tunnel

[5] Europe T+2: Is Asia-Pacific Ready? http://www.celent.com/reports/europe-t2-asia-pacific-ready

[6] Fintech accelerators are becoming physical as well as virtual communities http://bit.ly/1oLjby7

[7] 日本企業、戦略練り直し 英EU離脱で関税・為替注視 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04064140V20C16A6EA3000/

[8] HSBC 'to move jobs to Paris if UK leaves single market' http://www.bbc.com/news/business-36629745

[9] How a cautious nation came to tear down the political temple http://www.ft.com/cms/s/0/b90a7278-3a02-11e6-9a05-82a9b15a8ee7.html#axzz4CZSVtXfl

[10] 日本の銀行業界におけるレガシー・モダナイゼーション パート2:銀行業界への提言 http://www.celent.com/ja/reports/35018

 

 

今春のカンファレンスを振り返る(その2)

本稿では、今春のアジア3都市での6つのカンファレンスを振り返ります。銀行、保険、証券、ウェルスマネージメントの各業界の議論に共通したキーワードは、フィンテック、デジタル、そしてモダナイゼーションでした。

 

Legacy Modernization Seminar (47日:東京)

http://www.celent.com/news-and-events/events/legacy-modernization-seminar

グローバルなITサービスベンダーの主催するコミュニティミーティングで、「レガシーモダナイゼーション」のプレゼンテーションをしました。

昨年セレントが実施したサーベイ結果は、日本の保険業界におけるレガシーシステムの現代化について、以下の示唆をもたらしました。

  1. 現代化の検討は本格化、既に実施ステージに:置換戦略は、新システムへの置換がバージョンアップやラッピングを凌ぎ、置換理由は、コスト、ITスキルや能力との合致、リスク許容度、が主流である。
  2. 置換プロジェクトの進捗は評価から実施段階へ入るも、新たな解決策(SaaS、BPO)の検討は十分とは言えない。
  3. 最大の課題は自社に最適なプログラムの選定にある。
  4. ビジネスケースの検討は不十分:ビジネスケースはプロジェクトの進捗管理ツールに止まり、ライブドキュメントとして機能していない。
  5. 現代化の進展による、ビジネス部門、IT部門の役割変化は、未だ責任分担を変化させるには至っていない。

この現状認識に基づき、カンファレンスでは、以下を議論しました。

  1. レガシーモダナイゼーションのフレームワーク
  2. 組織の優先課題と自社のリスク許容度の掌握
  3. スコープ定義

そしてレガシーの再生産をしないモダナイゼーションのKFSとして、以下を提唱しました。

  • 自動化とその複雑系への適用
  • コアスタンダードの確立と、ローカルバリエーションの許容
  • ソーシングモデルの見直し

ここでもまた、「フィンテック」「デジタル」が共通の話題でしたが、IT部門の最大の課題は、やはり「レガシーモダナイゼーション」にあります。それはITシステムの更新や新技術の導入だけでなく、IT部門の体制やイニシアチブの在り方にも大きく依存します。カンファレンス参加者の問題意識は、「データ移行」「プログラムコンバージョン」「コンフィグレーション」から「クローズド・ブック」のBPOまで、実に多様なテーマに及びました。

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http://tekmonks.com/beta/beta/brochure/FI-Consulting.html

 

Tokyo Financial Information & Technology Summit  (412日:東京)

http://www.celent.com/news-and-events/events/tokyo-financial-information-technology-summit

キャピタルマーケットのトピックスも変化しています。

例年同様、東京金融情報&技術サミットのパネル運営をサポートしました。今年のカンファレンスでは、ウェルスマネージメント、フィンテックを新たなトピックスとして加え、「信託ビジネス」と「ブロックチェーン」のパネルをモデレートしました。

「信託ビジネス」パネルでは、以下のトピックスで議論しました。

変貌する個人金融市場と資産運用ビジネスの現状認識について:

  • 「貯蓄から投資へ」の潮目の変化(NISA、投信、ラップ口座)
  • ゼロ金利の影響
  • ターゲットとするセグメント

個人向け資産運用ビジネスへの取り組みについて:

  • 新チャネルの状況(対面チャネル、非対面チャネル、ハイブリッド)
  • プロセスの改革の度合(分析と自動化の活用度合)
  • オペレーション革新の状況(商品・サービス、IT、組織・体制の革新)

資産運用ビジネスにおけるイノベーションのドライバーと挑戦:

  • テクノロジー活用(チャネル、分析・自動化、商品・サービス)
  • データ活用(投資サポート情報、投資商品データ、投信データ)
  • FinTech活用(組織・体制、新市場とコミュニティの拡大)

日本のリテール証券・信託マーケットにおいても、ウェルスマネージメントビジネスとそこでのテクノロジー活用が重要テーマとなっています。

 

「ブロックチェーン」パネルでは、「資本市場」を中心とした「ブロックチェーン」の可能性、POCへの期待を議論しました。論点は、以下の3点でした。

  • 取引の透明性、コスト削減への効果期待と実現方策
  • 金融サービス事業適用の条件、POCに期待する成果
  • 期待される、ビジネスケース

ブロックチェーンを巡る議論は、「探索」の段階から「実証」の段階に入ったと感じました。また、カンファレンスの議論を通じて、以下の示唆を見出しました。

  • この技術は、多くの市場参加者が共有すべきもの:プライベートもしくは、小規模なコンソーシアムでこの技術を適用しても、そのメリット享受は難しい。
  • この技術は、グローバルに実装すべきもの:グローバルな制度変更を伴う、標準化のイニシアチブのなかでの設計と実装が本来の姿である。ビジネスケースは、国際送金、トレードファイナス、マイクロペイメントなど想定されるが、ビットコイン(の信任が増し)若しくは、新法定通貨が定まれば、金融取引の大半はそれでよく、後は、非金融情報をタグ付するだけで、その多くはXMLの範囲で解決する。
  • この技術は、アプリケーションではなく、プラットフォームの技術:従って、①基礎研究:新プラットプラットフォームの構築と、②応用研究:その上でのアプリケーションの構築作法、とを峻別し、POCの多くは、R&Dとして①を主に、②はサンプル・ユースケース程度であり、制度設計は皆無。多くのベンダー(や金融機関)は、旧態依然として、新標準が定まった後のAP構築方法論及びAP構築から利益を出す構造である。

そこでの課題は、以下の3点に集約出来ます。

  • 透明性:技術の特性として、秘匿性の高い情報の管理には向かない。大半の金融取引は秘匿性が伴い、法改正も必要。
  • 制度設計:大規模金融基盤適用には、制度設計、制度改定が不可避で、個別金融機関にはその動機がない。
  • 技術者の人口:メインフレームからC/S、Web、モバイル、AI&IoTへの変遷と全く同様に、広範な普及には開発者の人口が必要。

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http://www.financialinformationsummit.com/tokyo/jp/static/programme

 

17th Asia Conference on Bancassurance and Alternative Distribution Channels (5月10日:ジャカルタ)

http://www.celent.com/news-and-events/events/17th-asia-conference-bancassurance-and-alternative-distribution-channels

今春2回目のジャカルタでは、このバンカシュランスのカンファレンスに参加し、保険業界におけるデジタル化をセレントの「デジタルフレームワーク」を用いて提唱しました。加えて、InsurTechの動向を、ソーシャルメディアのデータ分析、保険会社以外のデータ収集とその活用、IoTを活用した新たなデータソースの拡充、構造化データ以外の分析ツールの活用について紹介しました。また、銀行と保険会社のレガシーモダナイゼーションについても言及し、自動化と事務処理のSTP化の重要性を述べました。バンカシュランスの文脈においても、銀行、保険会社に跨る事務処理をシンプルにすることが鍵で、プロセスのデジタル化はすなわちコアシステムの現代化を誘導することを提言しました。

カンファレンス・チェアの役割を通じて、全プレゼンテーションを紹介し、質疑応答をモデレートしました。登壇者の顔ぶれは、現地の金融当局、保険業界団体、東南アジアで活躍するグローバル銀行と保険会社、再保険会社の現地法人、そして当地でのデジタルバンキングに商機を見出すテクノロジーベンダーとフィンテック・スタートアップ企業。各社の発表に共通するコンセプトは、デジタルエクスペリエンスが変える銀行と保険会社、そして保険契約者の関係でした。

社会インフラの制約条件は、シンプルな顧客関係を要求します。金融とITのリテラシーが未成熟な地域では、顧客の文脈での推奨や支援が必要とされます。それらを満たすプラットフォームとして、モバイルを中心とした顧客接点が取り組みの中心でした。Financial Inclusion(金融包摂)は、金融当局の強力なバックアップもあり、銀行、保険、そしてテクノロジーの業界にとって、大きな活躍の舞台とみなされます。今回も、アジア新興市場のダイナミズムを大いに実感しました。

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http://www.asiainsurancereview.com/airbanc2016/Programme

 

今春のカンファレンスを振り返る(その1)

カンファレンスは、いつも刺激に溢れています。今春も各地で、パネルディスカッションやプレゼンテーションの機会に恵まれました。自らのプレゼンテーションを通じて、過去のリサーチ成果を発信するだけでなく、カンファレンス・チェアやパネル・モデレータの役割は、業界ソートリーダとのインプロビゼーションであり、将来のリサーチトピックスやインサイトテーマを仕込む、貴重な瞬間です。人が出会い、意見を交換し、議論を深める。そのための準備と当日の緊張感は、アナリストの責務であり、醍醐味でもあります。

本稿では、今春のアジア3都市での6つのカンファレンスを振り返ります。銀行、保険、証券、ウェルスマネージメントの各業界の議論に共通したキーワードは、フィンテック、デジタル、そしてモダナイゼーションでした。

 

Blockchain Business Conference 2016 (121日:ソウル)

http://www.celent.com/ja/news-and-events/events/blockchain-business-conference-2016

セレントを含めて4人のスピーカーが、ブロックチェーンを中心としたフィンテックに関する現状認識と取り組みを発表しました。

ソウル大学ビジネススクールの教授は、ビットコインとブロックチェーンの関連性と違い、ブロックチェーン技術の特長、イノベーションプラットフォームとしてのブロックチェーンへの期待を述べました。大手SIのLG CNSと、フィンテクスタートアップのcoinoneは、自社におけるブロックチェーンへの取り組みと、適用を目論むビジネス分野について、簡易なユースケース・デモを交えて発表しました。セレントからは、フィンテックの背景、ブロックチェーンの本質、金融サービスの行方について、グローバルと日本の立ち位置から報告しました。

参加者は総じて若く、ITのトレンドに敏感で、ブロックチェーンを新たなビジネス機会として捉え、その議論を挑む姿勢が印象に残りました。ソウルにおけるこのブロックチェーンのカンファレンスは、ペイメント分野での新たなサービス創出の意欲が実感出来ました。

本イベントについては、「フィンテックトレンドの昨日」 http://bit.ly/1txsSmD と題してポストしました。

1

 

Celent Analyst and Insight Day  224日:東京)

http://www.celent.com/ja/node/34449

今春のカンファレンスシーズンは、このイベントからスタートしました。

世界各地からセレントのアナリストが東京に集結し、テクノロジーが金融業界の土台をいかに揺さぶっているか、金融機関は新しい現実にいかに適応していくべきか、様々な議論とインサイトを発信しました。「イノベーション」「フィンテック」「ブロックチェーン」をテーマとした3つのセッションで、合計15のプレゼンテーションを披露しました。

イノベーションの手法とベストプラクティス、未来への分岐点 としてのフィンテック、ブームで終わらないブロックチェーンのインパクト。どのテーマも、市場を席巻するメガトレンドですが、着地点や方向性が見出せない議論となりがちです。このカンファレンスを通じてセレントは、フレームワークベースの考察、ベストプラックティスの活用、そして戦略的自由度の確保が重要であると提言しました。

このカンファレンスの前後でも、各社のPOCに関するプレスリリースが相次ぎました。2016年の春、東京での「フィンテック」を巡る議論は、「探索」から「実証」に推移し、先駆者の「ユースケース」や「ビジネスケース」を待望する声が多数聞かれました。

本イベントについても、「セレント アナリスト&インサイト・デー」 http://bit.ly/1T6R5u2 にポストしました。

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Southeast Asia Banking Technology & Innovation Summit 331日:ジャカルタ)

http://www.celent.com/news-and-events/events/southeast-asia-banking-technology-innovation-summit

昨年のビザ条件の緩和は確実に奏功し、インドネシアでのカンファレンス機会が拡大しています。セレントは今春、銀行と保険の業界メディアから招聘を受け、カンファレンスに参加しました。

日本の約5倍の国土に2.6億の人口、イスラム教徒の比率が88%、2005年以降5~6%台の高成長率、2015年一人当たり名目GDP3,362ドル(世界113位)。首都ジャカルタには、アジア新興国市場の縮図があります。治安、交通渋滞、インフラと様々な課題を抱えつつも、そのすべてを事業機会として取り組むダイナミズムを感じました。

このバンキングのカンファレンスでは、銀行業界におけるデジタル化をセレントの「デジタルフレームワーク」を用いて提唱しました。市場の激流を注視し、顧客経験を通じて自社のブランド評価を計測すること。ITとビジネス両面の柔軟性を確保し、デジタル化による具体的な経済価値を追求すること。そして、そのための戦略ロードマップを策定、実行すること。この5点は、セレントの提唱するデジタル戦略の中核です。

また、カンファレンス・チェアの役割を通じて、全プレゼンテーションを紹介し、質疑応答をモデレートしました。登壇者の顔ぶれは、現地の金融当局、南アジアで活躍するグローバル金融機関の現地法人、そして当地でのデジタルバンキングに商機を見出すテクノロジーベンダーとフィンテック・スタートアップ企業。各社の発表に共通するコンセプトは、Financial Inclusion(金融包摂):低所得層の世帯や事業主が、信頼のおける金融機関から、適切な価格で高品質の金融サービスを利用できるようにすること。デジタル技術はそのイネーブラーとして、店舗やATMよりもモバイルがそのメインチャネルとして、大いに議論されました。

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Cyber Security: Is Blockchain the Answer?

Cyber security has long been a serious matter for financial institutions and corporates alike, but fintech and the digital era make cyber security more of an issue. Delivery of products and services through digital channels means that more systems are available to scrutiny by malefactors. The continuing adoption of fintech APIs (by which institutions provide their clients with third party services) and cloud computing may introduce further vulnerabilities. Meanwhile, the growth of the digital economy is also creating a large population of highly trained technologists — potentially creating greater numbers of cyber attackers and cyber thieves.

Cyber threats affect all industries, but financial institutions are particularly at risk, because of the direct financial gain possible from a cyber intrusion. An important question is whether the existing cyber security guidelines issued by various industry organizations will continue to be adequate in the age of fintech and digital financial services.

Fortunately, the evolution of fintech also entails the development of new technologies aimed at creating the next generation of cyber security. A number of startups are beginning to develop applications using semantic analysis and machine learning to tackle KYC, AML and fraud issues. Significantly, IBM Watson and eight universities recently unveiled an initiative aimed at applying artificial intelligence to thwart cyber attacks.

The traditional cyber security paradigm is one of “defense,” and unfortunately defenses can always be breached. Artificial intelligence, as advanced as it is, still represents the traditional cyber security paradigm of “defense,” putting up physical and virtual walls and fortifications to protect against or react to attacks, breaches, and fraud or other financial crime.

What if there were a technology that broke through this “defense” paradigm and instead made cyber security an integral aspect of financial technology?

This is precisely the approach taken to cyber security by blockchain technology.

Bank consortia and startups alike are engaged in efforts to develop distributed ledgers for transfer of value (payments) and for capital markets trading (where the execution of complex financial transactions is done through blockchain-based smart contracts). Accordingly, distributed ledgers and smart contracts are likely to one day have a place in treasury operations, for both payments and trading.

Blockchain is gaining attention primarily because its consensus-based, distributed structure may create new business models within financial services. In addition, though, blockchain technology has at its core encryption technologies that not only keep it secure, but are actually the mechanism by which transactions are completed and recorded. In the case of Bitcoin, blockchain has demonstrated that its encryption technologies are quite secure. The further development of blockchain will necessarily entail significant enhancements in next-generation encryption technologies such as multi-party computation and homomorphic encryption, which are already under development. In other words, blockchain is likely to not only play a role in altering the way payments and capital markets transactions are undertaken, but also in the way next-generation financial systems are secured.

FINOLAB

I recently paid a visit to Finolab, an innovative initiative in Tokyo designed to help support fintech initiatives. Officially dubbed The FinTech Center of Tokyo Finolab, the facility is an incubation office that opened in the Tokyo Bankers Association Building in February 2016. Sponsored by multiple firms (*1), the center is designed to support the launch and growth of start-ups as a hub to facilitate the matching of potential business ventures with companies and prospective investors.

For me, the facility conjured images of Level39 (*2) in London—and I don’t believe that I was the only person who felt that way. The Tokyo location overlooks Wadakura Fountain Park with its fountain and monuments and offers a sprawling view of the two-story picturesque Sakurada Tatsumi Yagura Keep and Imperial palace gardens and greenery. Stretching beyond that is the Kasumigaseki—the administrative heart of Japan. A good view can be essential when it comes to innovation. For fintech start-ups, a good physical location and community can be as essential to getting off the ground as having a good virtual presence.

“Finolab was established with the intention of creating fertile soil for and an environment conducive to fostering world-class financial innovation. It is backed by an enthusiastic cohort of promising fintech start-ups and stakeholders who are committed to spawning innovation and linking it to the existing ecosystem—that is Finolab,” explained Chie Ito, a founder of Finovators and manager of ISID, which is involved in the operation of Finolab. The birth of Finolab in the financial district of Otemachi area seems to aptly symbolize the current state of fintech in Japan today.

 

On the day, Akira Tsuruoka of the company Liquid, which has already taken up residence at Finolab and using it as its registered address, told me a bit about the company’s vision. Liquid is working to offer its Liquid payment service, which harnesses next-generation biometric authentication search engine technology, to obviate the need to carry credit cards or point cards. The Liquid reader (fingerprint reader) can be connected via a USB port to a POS cash register to make possible payment by fingerprint.

Conventionally, the hurdle for fingerprint authentication technology applications has been the time required for fingerprint matching confirmation, however, Liquid has succeeded in overcoming this by accelerating the verification process. Japan’s biometric technology has advanced from being able to confirm the identity of a person to being able to specify a user’s identity. The next area for which there are high expectations is using image processing and the ability to process reams of data across a broader range of biometric identifiers. Learning about Liquid’s technology and cloud-based service offering, I was struck by the possibilities that it has for boldly yet elegantly contributing to solutions for and potentially helping to redefine the very primitive applications of individual biometric authentication in the financial services industry.

 

(*1) Finolab is an endeavor jointly undertaken and backed by Mitsubishi Estate, Dentsu, and Information Services International-Dentsu (ISID). Finolab will be operated with the cooperation of Finovators, a corporation of professionals dedicated to promoting financial innovation. The Finolab will offer services through the finolab.jp website, with Dentsu and ISID responsible for service operations. http://finovators.org/  http://finolab.jp/

(*2) Located in the Canary Wharf financial district of London, Level39 is a fintech accelerator. Celent profiled it after it launched in 2013 in a blog entry. http://www.level39.co/  http://bit.ly/1oLjby7

 

liquid

 

FINOLAB

FINOLABを訪問しました。FINOLAB(The FinTech Center of Tokyo FINOLAB)は、2016年2月、東京銀行協会ビルに開設されたフィンテック企業のためのインキュベーションオフィス。スタートアップの創業・成長を支援し、企業や投資家などへのプレゼンテーションやマッチングの拠点となるべく、複数企業(*1) のスポンサーシップにより開設されました。

眺望の素晴らしさに、ロンドンのLevel39(*2) を思い浮かべたのは、私だけではないと思います。和田倉噴水公園のモニュメントや大噴水が眼下に広がり、桜田巽櫓から皇居外苑を一望。その先には、日本の中枢、霞が関が展望されます。見通しの良さは、イノベーションに不可欠な要素。バーチャル空間だけでなく、フィジカルなロケーションも、つながるためにはとても重要な要素です。

「『日本に世界最高の金融イノベーションが生まれる土壌、環境、エコシステムを創ろう』。その熱い想いに賛同する有望フィンテックスタートアップやステークホルダーが集い、イノベーションを創発し、エコシステムをつなげる場が、FINOLABです。」FINOVATORSのファウンダーで、FINOLABの運営に携わるISIDの伊藤千恵氏はこう語りました。日本の金融の中心地「大手町」に誕生したこのスペースは、日本のフィンテックシーンの今を象徴するものと感じました。

 

当日は、すでにFINOLABに入居し、その住所に法人登記するリキッドの鶴岡章氏から、同社の取り組みも拝聴しました。同社は、次世代の生体認証検索エンジンを中核に、クレジットカードレス、ポイントカードレスを実現する決済サービス「Liquid」を提供しています。Liquidリーダー(指紋リーダー)を、USBポート経由でレジPOSに加えることで、指紋決済を可能とします。

従来、指紋認証は指紋の突合に要する時間がボトルネックでしたが、同社のテクノロジーは、その高速化に成功しました。日本の生体認証は、『本人確認』から『本人特定』する技術へ進化しました。次に期待される分野は、画像処理と大規模データ処理を通じた、識別対象の拡大です。その技術とサービスの全てをクラウドで提供するリキッドの取り組みに、個人認証といった金融サービスにおいて極めてプリミティブな領域を、大胆に、そして繊細に融解してゆく可能性を感じました。

 

(*1) FINOLABは、三菱地所(株)、(株)電通、(株)電通国際情報サービス(ISID)による3社協業事業。その運営は(社)金融革新同友会FINOVATORS が協力し、ウェブサイトFINOLAB.jp はFINOLAB事業の一環として、(株)電通、(株)電通国際情報サービスが運営している。http://finovators.org/ http://finolab.jp/

(*2) Level39はロンドンの新金融街Canary Wharf にある、フィンテックアクセラレータ拠点。2013年に開設当時の雰囲気は、セレント証券ブログに言及されている。http://www.level39.co/ http://bit.ly/1oLjby7

 

FINOLAB

 

ロボアドバイザー3.0の時代

Robo for blog 2014年12月に発行した弊社レポート「ロボアドバイザーをめぐるディスラプション」では、ロボアドバイザーのもたらす脅威に対し、伝統的なウェルスマネジメント会社がどう取り組んでいるのかを記載しました。 その後今日に至るまで、ロボアドバイザーの世界は大きな変化を遂げました。 ロボアドバイザーの黎明期(「ロボアドバイザー1.0」の時代)は、Charles SchwabやVanguardといった、多様なビジネスを手がけるアセットマネジメント会社の独自ロボアドバイザーの登場とともに終わりを告げ、「ロボアドバイザー2.0」の時代へと入りました。また最近では、より純粋なアセットマネジメント会社であるBlackRockやInvescoの参入も話題となったところです。 こういったアセットマネジメント会社の戦略的意図や将来性について、セレントは独自の分析を行い、先日発刊した最新レポートでその見解を示しました。本レポートでは、富裕層をターゲットとする証券会社など、伝統的な投資サービス提供企業への影響や示唆についても考察をし、さらには「ロボアドバイザー3.0」にも触れました。潤沢な資金を持つIT企業や、イノベーティブな心をもった既存金融機関による、より高機能で、より多くの投資家層に適用可能な「ロボアドバイザー3.0」の誕生に対し、アセットマネジメント会社の参入がどんな影響を及ぼすのかを分析しています。

セレント アナリスト&インサイト・デー

早春の東京に、セレントのアナリストとインサイトが集結しました。

カンファレンスでのプレゼンテーションに加え、日本の金融業界ソートリーダとの議論では、日本で、アジアで、そしてグローバルに飛躍する金融サービスの未来図を大いに語りました。

カンファレンスでは、3つのセッションを通じて、15本のトピックスについて、最旬なプレゼンテーションを展開しました。

 

セッション1:イノベーションへのカウントダウン

もはや、過去の栄光に安穏とする組織は存続出来ません。ドローンや自動運転車との日常を、誰が予想したでしょうか?全く新しい時代の幕開けを、金融機関がイノベーティブな組織として生まれ変わる機会とするために、セレントは「金融機関のイノベーション」を継続的にリサーチしています。劇的な環境変化をビジネス機会として活用するために、セレントがグローバルなリサーチの中で見出した「イノベーションのベストプラクティス」を披露しました。

 

セッション2:フィンテック 未来への分岐点

今日の決断の確からしさが、明日のビジネスの成功を導きます。しかし、限られた時間の中で情報を取捨選択し、正しい判断を導くことは容易ではありません。業界を飛び交う斬新で奇抜なアイディアの中には、将来の方向性と成功を決定づける「種」が混在しますが、限られた時間とリソースを投入する価値のある種なのかを見極めることが課題です。フィンテックの最新テクノロジーの中から、どの「種」に将来性があり、どの「種」が幻想に終わるのか、セレントのインサイトを発信しました。

 

セッション3:ブロックチェーン 一時のブームか現実か

「ブロックチェーン」という言葉に、業界の未来が投影されているようです。果たして、本当に実用的なプラットフォームなのか、そしてその用途と適用方法は? 金融機関は、この最先端テクノロジーにどのように取り組んでいるか、先駆者たちの取り組みに何を学ぶか? 銀行、保険、決済サービス、キャピタルマーケットにおける、その現状と今後の見通しを分析し、時間と資金を投じる価値がある分野を検証しました。

  • ブロックチェーンと決済の将来像
    ジルビナ・バレイシス  シニア・アナリスト バンキング
  • バンキングにおけるブロックチェーン2.0
    パトリシア・ヘインズ  シニア・アナリスト バンキング
    ジェームス・オニール  シニア・アナリスト  バンキング
  • 保険におけるブロックチェーン:どこにどのような影響を及ぼすか?
    ジェイミー・マクレガー  シニア・バイス・プレジデント  保険
  • 資本市場におけるブロックチェーンとスマートコントラクト
    ブラッド・ベイリー  リサーチ・ディレクター  証券
  • デジタル資産におけるリスク分散:分散型帳簿テクノロジーによるグローバル・システミック・リスクの軽減
    デビッド・イーストホープ  シニア・バイス・プレジデント  証券

 

個別に面談した、日本の業界ソートリーダとの議論では、引き続き、「金融の未来図」を提唱しました。

  • 何をすべきか?
    – 投資と事業機会の活用:イノベーション組織とリーダーシップの確立
    – 需要と供給のミスマッチを発掘:不便を我慢しない「新世代の声」を最大限活用
    – 新テクノロジーは新アーキテクチャの下で:デジタルテクノロジーがネットワーク効果を加速し、APIを司るプラットフォーマーこそが、新たな潮流を生み出す
  • 何をすべきでないか?
    – レガシーモデルの再生産:フィンテック活用とレガシーモダナイゼーションの同時進行、新サービス、新システムに加え、新たなソーシングモデルの考慮が必要
    – 旧市場の争奪戦:コスト競争を回避するためには、競争の軸を変え、新セグメントに向けた新たなバリュープロポジションを創出する
    – 事業とテクノロジーの独占:フィンテックのビジネスモデルは、多くの「共有」で成り立ち、それは市場や顧客のみならず、事業やテクノロジーすら惜しげもなく「共有」

 

未来図は、金融が特別な、独占的なサービスから、企業活動や消費生活と融合し、金融以外の情報や活動との区分が無くなることを前提とすべきと考えます。フィンテックの時代、金融サービス利用者の期待は高揚を続けています。サービスを競うべき相手は、どうやら、金融業界の外に、それは、ユーチューブやリッツ・カールトンの顧客認知、グーグルやアマゾンの顧客行動予知や優先顧客対応、全てのSNSが展望するサービスの可視化とシンプルなインタラクションかもしれません。その期待に応えることが、未来図における羅針盤となりましょう。

近刊のセレントレポートに、どうぞご期待下さい。

 

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フィンテックトレンドの昨日

極寒のソウルで、フィンテックのトレンドを議論しました。
カンファレンスでのプレゼンテーションに加え、業界ソートリーダとの議論は、2015年にグローバルに、そして日本で起きた事柄を総括する格好の機会となりました。

カンファレンスでは、以下の事柄を発表し、多くの反響を呼びました。

 

1. フィンテックの背景

  • 投資と事業機会
    – 年間100億$の投資規模
    – 未開拓事業は数兆$規模
  • 金融機関の戦略
    – 自己資本投資
    – イノベーションラボ、アクセラレーター
  • 重要テーマ
    – 規制
    – テクノロジーとアーキテクチャの拡張
  • 融合の意味
    – テクノロジーが金融を溶かす

2. ブロックチェーンの本質

  • アーキテクチャとキー・パーツ
    – 分散と共有、自動執行
    – トークン、共通帳簿
    – 独立執行型トークン暗号化
  • スタートアップと金融機関の戦略
    – スタートアップのコンソーシアム
    – 金融機関の市場インフラ
  • 資本市場への適用考察
    – ビックバンへの道筋
    – 従来型モデルの課題と克服策

3. 金融サービスの行方

  • 顕在化している事柄
    – デジタル対応
    – 不便不都合の解消
  • 陰に潜む本質
    – グローバルとローカルの鬩ぎ合い
    – 標準と個別の鬩ぎ合い
    – パンドラの箱が開く時(新需要の契機)
  • 地殻変動の予兆
    – 市場インフラ
    – プレーヤズ・ランドスケープ
    – ソーシングモデルの新常識

 

個別に面談した、業界ソートリーダとの議論では、以下の事柄を提唱しました。

  • 何をすべきか?
    – 投資と事業機会の活用
    – 需要と供給のミスマッチを発掘
    – 新テクノロジーは新アーキテクチャの下で
  • 何をすべきでないか?
    – レガシーモデルの再生産
    – 旧市場の争奪線
    – 事業とテクノロジーの独占(独り善がり)

 

そして、セレントが構想する、このような「金融未来図」を議論しました。
それは、既に稼働している「金融市場インフラ(FMI)」をレガシー(伝統的な、現職の)システムと呼称した場合、新たなテクノロジーによる「新インフラ」は、

  • レガシーが保証する、堅牢な社会インフラ基盤を有効活用する
  • レガシーに培った、データ、資産、経験との連続性の享受する
  • レガシーによる、新旧事業者の参入撤退の自由度を確保する

つまり、レガシーの活用、共存共栄を前提として、新たな、

  • プラットフォームのレイヤ:新たなルールの形成
  • イノベーションのレイヤ:新たなサービスの創造

を可能とする、「APIエコノミー時代」のAPI提供者を意図します。

そこでは、金融機関は、製造、小売、流通などの産業界とインフラを共有し、B2Bのみならず、B2C、つまり生活者の生活情報、非金融情報もAPIを通じて、流通可能とする、いわば、テクノロジーが「金融を溶かした」青写真を想定しています。

 

如何ですか?ご一緒に、金融の未来図を構想しませんか?セレントは常に、その議論の触媒(カタリスト)で在りたいと願います。

 

この続きは、東京で!

セレント アナリスト&インサイト・デー | February 24, 2016

 

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Blockchain Business Conference 2016 | FinTechKorea

This is an exciting time for the Financial Services sector. It seems every day we hear of new “innovation” or “disruption” (depending on your point of view). However, the sheer volume of all this noise can be overwhelming. How do you determine what you need to listen to out of the cacophony of voices? We can help. We do the listening for you. Join us as we examine the hottest trends in FinTech, Blockchain 2.0! Among the topics we will cover are:
  • Who are today’s disruptors, and what will their impact be on the marketplace?
  • What threats do the disruptors pose for Financial Institutions?
  • Moving forward, who will be the key players in the new landscape–will it be the familiar faces or the new kids on the block?
  • What are the steps a Financial Institution must take in order to stay in the game?
  • How will all of this play out? Globally? Locally? And are there elements unique to the market that companies need to watch for or can exploit?
Presentation agenda (preliminary):
  • FinTech Trends
  • Market Opportunity
  • Blockchain 2.0
  • Capital Markets + Blockchain 2.0
  • Trends and Challenges in Japan
  • Key Takeaways
  Blockchain Business Conference 2016 | January 21, Seoul, South Korea Click here for more information